tomatoyoko.gif (61032 バイト)    阪神間(西宮市−甲子園界隈)の賃貸住宅 と分譲マンションのトラブル回避のヒント集、 マンスリー マンションを掲載. リンクフリー

 上へ ホームインスペクター マンション管理士トマト マンスリーマンション リンク 生きるヒント集 更新履歴 掲示板 目次 Private

公社の動き
 

 

原状(現状)回復費用の大きな転換



(株) トマトホーム代表者 西岡 儀和


1、 原状(現状)回復費用の精算方法に大きな変化が起きている様です。


 平成10年3月に、建設省住宅局から「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(以下ガイドラインと称す)が、公にされました事は、まことに時を得た一針であります。(資料1)簡易裁判所の判例まで集めるのは弁護士さんによれば誠に大変とのことで、これからの貴重な資料になると思います。良く出来た本ですので、皆さんぜひ入手してください。
いままで、消費者の無知に助けられて、トラブルの発生が少なかった訳ですがここに来て、消費者に不景気の手伝ってにわかに騒がしくなって来た訳です。

 さて、敷金返還請求が増えているとのこと。特に昨年より始まった小額訴訟の2割を占めるとのことです。これは、阪神間では、予め契約時に敷引で精算しておりますので、主に関東で起きていることだと思われますが、しかし、阪神間でも、公庫とか、公団の物件は、関東と同じよう敷引とか、礼金の無い契約をしなくてはならず、決して対岸の火事ではありえません。


 裁判所の判例、そして上記「ガイドライン」の判断基準は、=賃借人が借りた当時の状態に戻すものではない。建物の価値は時間の経過、通常の使用でも減少するのであり、使用開始時より悪い状態でもそのまま賃貸人に返還すれば良い=との考えであります。通常損耗は、基本的には家賃に含まれていると。ですから、裁判になってしまいますと、がぜん貸主の旗色は悪くなります。上記ガイドラインによれば、だいたいが、クロスとかカーペットの場合、6年で残存価値10%となるような定額償却の直線のグラフで、経過年数により賃貸人の負担割合を決定する。つまり6年経過すると、すべて通常損耗となってしまう訳です。タバコの黄ばみは、契約書で、タバコは吸うな=吸えば張替え費用は借主負担と明記してなければ、通常損耗という具合です。結露は、建物が原因と考えられるので基本的に貸主負担となります。電気焼け、画鋲やピンの穴もハウスクリーニングも原則貸主負担です。
幸い、阪神間では、敷引(解約引)が定着しております。この敷引が、借家権設定の礼金を意味するのか、原状(現状)回復費用の先払いとしての定額精算を意味するのかは、意見の分かれるところではありますが、実務上は、後者でしょう。家主さんも敷引で、修理がまかなえれば、すんなり納得ですから。また契約時に前もって頂いている訳ですから、借主が解約時に返せとは言えない。
そのおかげで、今までトラブルがほとんど無く、解約立合いの技とか、原状(現状)回復費用の請求の技は、阪神間の業者は、逆に関東に比べて遅れているという実態が、あると思います。関東では、昔からトラブルが多発しており、この点に関して、入退去時に内装設備のチェックリストを作成したり、特約をいろいろと工夫したりと、大変苦労していると聞きます。


ところが、皆さんもご存知の様に、一昨年より阪神間でも空室の増加に合わせての家賃の下落、それに共なっての敷金の低下が顕著になり始めております。以前は、敷金が家賃の10ヶ月分だったのが、8ヶ月から6ヶ月分が当たり前になり始めています。


さらに今春、大阪の空室の多い地域では、関東並に、敷金の預り金は一切なく、礼金のみとして人気を集め満室を維持する物件が現れ初めているそうです。つまり、空室率の増加が、家賃の低下のみならず、敷金の減額に及び、さらに礼金化しはじめている訳です。このまま空室率が拡大しますと早晩阪神間でも、関東並に礼金のみなってしまう事が予想されます。


今まさに、原状回復費用の実務上の取り扱いと、相場の流れに、大きな変化の兆しが現れ、そして、この不景気がそれを加速し始めている訳です。
ついに、今年の3月、公営住宅(特優賃)の管理の公社が、原状(現状)回復費用について、借主より裁判に訴えられ、それがマスコミに大きく取り上げられました。(資料2)
 その後、兵庫県の公社は、家賃算定時に原状回復費用について考慮していないのです。貸主負担との方向に戸惑いが見られそうです。そして住宅金融公庫は、この8月完成の新築物件の契約書について、同様の明文化を貸主に求めております。前記ガイドラインにもあります様に、通常損耗は正に家賃に含まれていることを、
資料2の 1年後で公営住宅が、そして、公庫融資物件では、すでに定着し始めているわけです。
 

 

補足
 平成14年10月15日 兵庫県の公社が訴えられた下記裁判は、 判決が下りました。判決要旨

 また、国の方針として、ガイドラインの指針から公社・公団は、政策家賃ということで基本的に省く方針だったといわれています。 しかし、特優賃物件では、民間の家主が住宅金融公庫からの融資を受けて建物を建てますと、契約書にはガイドラインに沿った通常損耗は貸主負担の項目が
平成10年秋以降の公庫融資の新築には入ってしまいます。ここに運用上の矛盾が発生します。つまり国の方針としては、公社の物件は、ガイドラインの適用外としたかったのに、公庫の融資物件には、その条項が入ってしまう訳です。

実際、判例もそして関東でも、判例が割れている=
 負担区分表があって、説明もキチンとされて署名押印されている場合
裁判所もそれは、公序良俗違反でなくて、契約自由の原則の範囲内で有効であるという判例と、
いやいや、ガイドライン通りそれは家賃に含まれており、2重払いになるので、特約どおりには、支払わなくても良いという判例があります。

また、簡裁で貸主が負けても地裁では逆転して勝ったという事例も
あるとのことでした。

よって公社のキチンとした負担区分表がある場合で別紙の案内がある場合、
判例が割れているので一概にはなんとも言い難いところです。

-------------------------------------------------------------------------------------
資料1原状回復をめぐるトラブルとガイドラインには、全文掲載版と要約版がありますのでご注意下さい。県から配布されたのは要約版です。全文掲載版は、判例が詳しく載っており、要約版の3倍以上のボリュームがあります。

資料2:毎日新聞ニュース=ニフティのクリッピングサービスより引用です

1999/02/23 02:02 毎: <特報・賃貸住宅>主な住宅供給公社が修繕費を退去者に不当

毎日新聞ニュース速報

 東京、大阪、神奈川など全国の主な住宅供給公社が管理する賃貸住宅で、入居者が退去する際、畳の表替えやふすまの張り替えなどの修繕費について、本来は家主が負担すべき場合でも退去者に不当に請求していることが22日、分かった。建設省は「通常生活に伴う自然損耗の修繕は貸主の負担」という指針を示している。民間の賃貸住宅で争われた裁判の判例でも、入居者の故意や過失がなければ、借り主負担とする契約を結んでいても、修繕は家主持ちとするのが大半。公社の姿勢は民間の賃貸にも大きな影響を与えるため、建設省は近く全国の公社関係者や地方自治体の担当者を集めて改善を指導する。

 毎日新聞が、管理物件の多い五つの都府県住宅供給公社に取材したところ、神奈川、愛知、大阪は退去時に必ず畳やふすまの表替え・張り替えなどを行い、使用状況にかかわりなく全額を退去者に負担させている。兵庫もふすまは全額、畳は民間建物を公社が管理する「借上住宅」で全額、その他は半額が必要。東京の借上住宅も、畳の表替え費の最低2分の1が退去者負担となっている。このほか、壁のクロスのクリーニング費や張り替え費、玄関のかぎの取り替え費を負担させている例もある。

 しかし、民間の賃貸住宅をめぐる訴訟では、名古屋地裁が1990年、「(契約書に退去者の負担が定められている場合でも、その範囲には)通常の使用で(畳などが)擦り減ったり、汚れたりしたものは含まれない」と判断。96年の仙台簡裁判決も「通常の使用による汚れなどは家賃でカバーすべきだ」と指摘している。

 こうした流れを受け、建設省も昨年、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を作成し、「自然損耗・劣化分の修繕は貸主負担」などとする指針を示した。

 国民生活センターなどへの賃貸住宅に関する相談件数は97年度で1万3701件。建設省によると、このうち最も多いのが退去跡の修繕(原状回復)にかかわるものという。 【岩崎日出雄】



 ◇伊藤英隆・建設省民間住宅企画官の話

 公社には公的性格があり、なるべくトラブルを招かないような契約や運用が望ましい

1999/03/06 02:03 毎: <特報・兵庫県住宅供給公社>修繕費契約見直しへ

毎日新聞ニュース速報

 東京や大阪など全国の主な住宅供給公社が管理する賃貸住宅で、退去後の修繕費のうち本来は家主が負担すべき分も退去者から徴収している問題で、住宅金融公庫大阪支店はこのほど、修繕費をめぐって苦情の出ている兵庫県住宅供給公社に対し、借り上げ住宅分の修繕に関する契約を見直すよう指導した。公社住宅のほとんどが公庫融資を受けて建築されているが、住宅金融公庫法などで「賃借人の不当な負担となることを賃貸の条件としてはならない」とされ、融資条件になっているため。
兵庫県公社はこれを受け、全国の公社に先立って契約書を部分修正する検討を始めた。

 兵庫県公社の借り上げ住宅の契約書を補完する「住まいのしおり」では、退去時の注意として「玄関かぎの取り替、畳の表替え、ふすまなどの張り替え……については、すべて新しくさせていただきます。この場合、敷金で充当させていただきます」と書かれ、契約書の修繕費負担区分表でも退去者負担としている。

 しかし、最近の賃貸住宅をめぐる訴訟の判例の多くは、入居者の故意・過失がない場合、畳・ふすまの色あせなど自然劣化・損耗に対する修繕は家主負担とし、建設省も「自然損耗の修繕は貸主負担」との指針を示している。さらに公庫融資物件の場合、入居者への「不当な負担」を公庫法などで禁じている。

 このため、阪神大震災で持ち家が傾き、建て替え中に同公社が借り上げた被災者優先住宅に住んだ兵庫県尼崎市の男性(70)が「退去時に不当な修繕費を負担させられた」と同公社に抗議した。

 この抗議をきっかけに、住宅金融公庫大阪支店が公社の契約内容を知り、契約が「不当な負担」を規定していると判断。(1)修繕費の負担区分は居住期間や使用状況による(2)かぎの取り替えは原則として公社負担とする――と、契約の見直しを指導した。

 水島祥喬・兵庫県住宅供給公社住宅管理部長は「修繕に関する契約条項の全体的な改善は全国の公社と協議して進めたいが、公庫の指導もふまえ、部分的には先行修正も検討している」と話している。 【岩崎日出雄】
[1999-03-06-02:03]
以上引用文


1999/03/14 02:00 毎: <特報・公社住宅>震災被害で「修繕費徴収は違法」提訴へ 

毎日新聞ニュース速報

 阪神大震災で持ち家が傾き、建て替え中に兵庫県住宅供給公社の賃貸住宅に入居した同県尼崎市の男性が「退去時に、汚していないふすまの張り替え費用などを徴収されたのは、入居者への不当な負担を禁じた特定優良賃貸住宅法などに反する」として、同公社に修繕費約21万円の返還を求める訴訟を近く神戸地裁尼崎支部に起こす。
「特定優良賃貸住宅」は国庫補助などが適用される代わりに家賃など賃貸条件が制限される住宅で、公社住宅を中心に全国に約18万戸ある。建設省などによると、特優賃法違反で訴訟が起こされるのは初めて。退去後の修繕費をめぐって公的機関が訴えられるのも異例で、公社住宅の賃貸契約のあり方が改めて問われそうだ。

 訴えるのは尼崎市のYさん(70)。訴状などによると、Yさんは95年8月から18カ月間、公社管理の賃貸マンションに妻(64)と入居。部屋を傷めないように注意したが、退去時に畳・ふすま・クロスの表替え、張り替え代など約21万円を徴収された。

 しかし、最近の判例の多くは、入居者の故意・過失がない場合、畳・ふすまの色あせなど自然の劣化・損耗に対する修繕は家主負担とし、建設省も同様の指針を示している。

 さらに、この住宅は特定優良賃貸住宅として補助を受けたり、住宅金融公庫融資を受けて建てられたため、特優賃法や住宅金融公庫法などで「入居者の不当な負担となることを賃貸の条件としてはならない」と定められている。

[1999-03-14-02:00]
以上引用文

1999/03/16 02:00 毎: <特報・公社住宅>多額修繕費で建設省が供給公社担当者らに

毎日新聞ニュース速報

 全国の主な住宅供給公社の賃貸住宅で、退去の際、畳の表替えなど部屋の修繕費のうち本来は家主が負担すべき分も退去者から徴収している問題で、建設省は15日、全国の57の住宅供給公社や自治体の担当者を同省に集め、退去後の修
繕に関する契約を適正化するよう指導した。

 同省の担当者が、公社の退去跡修繕費に関する毎日新聞の記事を紹介したり、「退去後の修繕のうち自然損耗分は家主負担」とする同省の指針について改めて説明した。

 全公社が加盟する全国住宅供給公社等連合会は、早ければ来月、賃貸物件の多い八つの公社などで検討会を設置し、建設省もオブザーバーとして参加する。各公社は15日の同省の指導後、検討会で1年後に退去後の修繕に関する全国の公
社としての指針をとりまとめることを確認した。 【岩崎日出雄】

[1999-03-16-02:00]

以上引用文

以下判決分から引用

 平成14年10月15日 判決言渡 平成11年(ワ)第360号 敷金返還請求事件
   (口頭弁論終結 平成14年8月6日)


原告          ○○ ○
同訴訟代理弁護人 ○○ ○○

被告 兵庫県住宅供給公社 
同代表者理事長
同訴訟代理弁護人 ○○ ○○

主文

1 原告の請求を棄却する

2 訴訟費用は原告の負担とする

 

事実及び理由  

第1 原告請求               略

第2 事案の概要             略

第3 争点及び当事者の主張

1 争点                    略

2 特優賃違反について          略

3  争点に対する判断
(1) 建物賃貸借契約は、賃料を払って他人の建物を使用収益する契約で
あるから,建物の使用による通常損耗が賃貸借契約の本質上当然予定
されていることは,あたかも,レンタカーの使用がタイヤやエンジン
の磨耗を予定するのと同様である。  そして,不動産賃貸借契約,なか
んずく,不動産賃貸業の賃料の設定が経済的合理性にかなうように定
められるのが通常であることを考慮すれば,このような通常損耗によ
る投下資本の減価の回収は,理論的には,実質貸料構成要素の一部で
ある必要経費(減価債却費.修擦賓)に含ましめられていると考える
のが合理的で,かつ,そのように期待するのが社会一役の認識である
から,賃貸借契約終了時における通常損耗による原状回復費用の負担
については,特約がない場合,'般的には賃貸人が負担するとの黙示
の合意があると推定するのが合理的である。
しかしながら.本件賃貸借契約においては,本件特約により通常損
耗による原状回復費用を賃借人負担としているものであるが,賃貸借
契約のような財産契約にあっては.基本的には 契約自由の原則が妥当
するというぺきであり,法令に特段の定めのない限り,そのような費
用を当事者のいずれが負担すべきかは,原則として当事者が自由に定
め得るものであると解される。

一26一

(2) そこで,原告は,本件特約は,特段の法令の定めとしての特優賃法
(以下,同施行規則を含む.)が「貸貸人は,毎月その月分の家賃を
受領すること及び家賃の3月分を超えない額の敷金を受領することを
除くほか,賃借人から権利金、.謝金等の金品を受領し,その他の不当
な負担となることを賃貸の条件としてはならない。」旨、  公庫法(以
下,伺施行規則を含む。)が「賃貸人は.毎月その月又は翌月分の家
賃を受領すること 及 び家賃の3月分を超えない額の敷金を受領するこ
とを除<のほか,賃借人から権利金,謝金等の金品を受領し,その他
賃借人の不当な負担となることを賃貸の条件としてはならない。」旨
定めているのに違背すると主張する。


(3) 
特優賃法公庫法の規定構造によれば,特優賃法住宅の賃貸条件と
して,賃借人に不当な負担を課することを一般こ禁止し,賃料、敷金
を除く権利金,謝金等の財貨の授受をいうところの不当な負担の典型
例として掲記しているものと考えられる。 しかも,敷金は賃料、権利
金,謝金等とは異なり,元来は賃貸借契約上の賃借人の債務を担保す
るものとして預託されるもので,債務がなければ賃借人に全額が返還
されるべき性質の金員であるが、これについても当事者間の自由な合
意に委ねることなく,賃料の3か月分を限度として預託される旨を定
め、この違反については刑罰をもって禁圧しようとする趣旨が見てと
れるものである。このように考えてみれ.ば,特優賃法・公庫法は、賃
借人から賃貸人に支払われるべき財貨としては賃料のみを予定し(前
述のとおり,敷金は担保として預託されるもので,その法的性質に議
論はあっても,最終的に賃貸の所得に帰するものとしての財貨を移転
              一27−
するものではない。)  ,賃料以外の財貨の移転を前提とする合意は,
賃借人に対する不当な負担として,契約自由の原則を排して公的に規
制しているものと考えられる。これを本件についてみるに,賃借人の
責めに帰すべき修繕に要する費用を貨借人の負担とすべきことや、こ
れを敷金から控除することは損害賠償法の原則から当然許容されてい
るものの(本件賃貸借契約書本文も,賠償義務のある金員を控除する
ようになっている.〕 賃借人が賠償義務を負担せず,かつ、原状回復後
の目的物の使用に利益を有しない原状回復費用について.これを
賃借人に負担させて賃料以外の金員を受領することとなるような本件
特約は,元来は契約自由の範疇内にあっても,特優賃法,公庫法がそ
の授受を禁止している賃料以外の財貨の移転に該当すると解すること
も不可能ではない。


(4) しかし,前記のとおり,
特優賃法,公庫法も,このような費用を予
め賃料算定要素として考慮して実質賃料に含ましめ,最終的には賃借
人に負担させること自体は、,それが限度額賃料を超えない限りは容認
していると考えられること、そして,本件特約といっても,所詮は,
賃貸人が,原状回復に要する費用の負担を賃借人から賃料に含めて事
前に回収するか、契約終了時に回収するかの契約形態の相違だけであ
るとち考えられること、,さらに,個別事情として,本件賃貸借契約の
締結に当たり.被告があらかじめこのような費用を賃料設定要素とし
て考慮していないこと,さらに,本件特約自体は.例えば,賃貸人が
特優賃法としての権利金、謝金の授受を定めて限度額賃料を逸脱する
との意図に出たようなものでなく ((なお,金額的な面で見ると,本件
              -28-

特約により賃借人の負担とされた金額は,貸賃期間18か月で除すれ
ば1か月当たり1万1,804円となるが,これを家賃の月額12万
2,800円に加算しても13万4,604円でありり、乙の21こよ
り認められる特優賃法上の家賃限度額である月額21万9,671円、
乙7の2で認められる公庫法上の家賃限度額月額16万3,878円
を相当に下回っている。〉 ,近時の社会一般の清潔志向に応じて賃貸
物件の物理的・文化的住宅水準の劣化を回復するため、原状回復費用
の実額だけを貸借人負担とするものであること等の事情を考慮すれば,
このような原状回復費用を,あらかじめ賃料の中に取り込むことなく,
賃借人の建物利用の個別態様に合わせて主要構造部分ではない部分の
費用実額を事後的に算定し、これを賃借人に負担させる合意が,賃貸人
の優越的な地位を利用して,賃借人に不当な負担を負わせるものと断
ずることはできない。
 確かに,
特優賃法施行当時の所管庁は,前記行政目的達成のため公
費を投じて建設された特優賞法住宅の性格から,上記3(1)に指摘した
社会一般の期待に沿うような契約内容の明確化を図り。このような通
常損耗による
原状回復費用の負担についての紛争を回避するように行
政指導等を行っており、本件特約のような合意は,賃料額の設定の仕
方によっては通常損耗に基づく原状回復費用の二重取りも可能となる
ような曖昧さを残すむので、住宅政策の一翼を値い,祉会の範となる
べき被告のような住宅供給公社が,正当と評価される行政情導等を無
視して曖昧,かつ誤解を招来するような契約内容を設定することの当
否は相応の議論がなされて黙るべきであるが,本件特約が,特優賃法,
               -29-
公庫法の精神にもとるとしても,なお,私的効力を奪われるほどの強
度の不当性を有するとまでは認め難い。

 したがって,争点@Aともに原告の主張は容れられない。


4 以上のとり、原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし.
主文のとおり判決する。

神戸地方裁判所 尼崎支部 第1民事部

裁判長 裁判官   渡邊安一
    裁判官   西村 修   

                -30-

 

上へ ]