tomatoyoko.gif (61032 バイト)    阪神間(西宮市−甲子園界隈)の賃貸住宅 と分譲マンションのトラブル回避のヒント集、 マンスリー マンションを掲載. リンクフリー

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敷引の厳しい事例
 

 

ポイントは、消費者契約法(2001/4/1施行)です。

よって、これ以降に行った住宅の賃貸借契約は、この消費者契約法が適用になるわけです。
この消費者契約法が適用になると、民法の原則に反した特約は、契約時に遡って、無効になります。
敷引特約は、この消費者契約法の施行以前は、契約自由の原則が有効で、特約は、慣習として、定着しており、有効であるとした判例が一般的でした。
施行後は、無効の判例が確定してきました。
そもそも、賃貸借契約というのは、諾成契約といい、貸しましょう、借りましょうという合意で、
契約は、成立します。契約書というのは、あくまで証拠書類でしかないというのが原則なのです。

                                                      リンク 原状回復問題まとめ

たとえば
実務上は、畳、襖、壁 に多少落書きがあっても
入居期間が5年5ヶ月では、
敷引があって、どうせ通常損耗と併せて張り替えるという
意味合いで、いちいち別途差し引いてませんが、
この判例では細かく査定して引いています。


ガイドラインでは、張り替えは面単位となってますが
判例では、平米単位で計算しています。
この裁判官は、ガイドラインを知らないのでは
と思ってしまいます。
敷引があるから対象面積を減らしたのでしょうか?

入居期間が5年5ヶ月では、残存価値から考えても
ガイドラインの償却グラフから見ても借主負担は、
ゼロに近いのです。
新品の取替費用全額 とか 張り替え費用を全額借主が
負担するという減価償却の概念がない、
こういった判例が出るのは、
裁判の数が少ない阪神間の特有の現象かと思われます。
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/topics/keiyaku/kaihukugaido.htm


メールマガジンまぐまぐ楽しく学ぼう裁判所の判例 第293回 2002年7月25日

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http://www.mag2.com/m/0000077192.htm


建物賃貸借契約が終了し明渡後の「敷金」の返還についての紛争が後を絶ちません。
しかし,裁判までするには金額が少なすぎて賃借人側としては泣き寝入りすることが
多いと思います。家主側の主張があまりにも酷いときには懲罰的損害賠償でも課する
ことができれば、弁護士もこの種の裁判に積極的に関与するようになるでしょうが、
日本ではこのような制度はありません。
なお、敷金を返してもらえるかどうかは、自然損耗かどうか、保管義務違反があった
かどうかが基準になります。

神戸地方裁判所平成14年6月14日判決
本件は,被控訴人から建物を賃借していた控訴人が,賃貸借終了後,敷金の一部しか
返還を受けていないとして,その残額の返還を求めた事案である。

本件賃貸借契約の締結
控訴人は,被控訴人との間で,平成7年7月9日,本件建物を,以下の約定で賃借す
る契約を締結し,そのころ,その引渡しを受けるとともに,敷金として70万円を被
控訴人に交付した。
賃貸借期間 平成7年7月13日から同9年7月末日まで。ただし,貸主及び借主双
方に異議がないときは,2年毎に更新されるものとする。
賃料 1か月7万6000円(ただし,平成9年7月から,1か月8万円。)
支払方法 毎月末日限り翌月分前払い。
敷金 70万円(敷引金28万円)
敷金の返還等
(ア) 被控訴人は,本件賃貸借契約が終了し,控訴人が被控訴人に対し本件建物の明
け渡し及び本件賃貸借契約に基づく債務の履行を完了した後1か月以内に,敷引金2
8万円を控除した残額を控訴人に返還するものとする(以下「本件敷引約定」という)
(イ) 上記(ア)において,控訴人に,本件賃貸借契約に基づく債務の不履行があると
きは,被控訴人は,何時にても,敷金を前項の返還金額の限度内でその弁済に充当す
ることができる。ただし,控訴人からこの充当を請求することはできない。

控訴人は,被控訴人との間の本件賃貸借契約を解約することとし,平成12年11月
25日ころ,被控訴人にその旨を通知し,同年12月24日本件建物を明け渡した。

控訴人は,被控訴人から敷金のうち15万7007円の返還を受けた。

争点及び当事者の主張
1 本件敷引約定の有効性
2 敷金から控除できる修繕費用


裁判所の判断
1 本件敷引約定の有効性について
控訴人は,本件敷引約定について,敷引金の使途及び性質に関し,口頭でも書面上で
も何ら説明がなされず,不合理であるから無効であると主張する。
しかしながら,一般に,建物賃貸借契約において,敷金ないし保証金の一部を敷引金
として,その使途及び性質を明示することなく賃貸人が取得する旨を定めるいわゆる
敷引約定はしばしばみられるところである。そして,それら敷引約定は,一般的には,
賃貸借契約成立の謝礼,賃料の実質的な先払い,契約更新時の更新料,建物の自然損
耗による修繕に必要な費用,新規賃借人の募集に要する費用や新規賃借人入居までの
空室損料等さまざまな性質を有するものにつき,渾然一体のものとして,一定額の金
員を賃貸人に帰属させることをあらかじめ合意したものと解されるところ,それら敷
引約定はそれなりの合理性を有するものと認められるから,その金額が著しく高額で
あって暴利行為に当たるなどの特段の事由がない限りは,その合意は有効である。

そこで,本件敷引約定についてみるに,建物の自然損耗よる修繕に必要な費用等に充
てられるものとして,あらかじめ一定額の金員を賃貸人である被控訴人に帰属させる
ことを合意したものと認められ,また,その額についても特に著しく高額であるとか,
その他これを無効とすべき事由があるとは認められない。
以上のとおりで,本件敷引約定は有効な約定と解され,これが無効であるとの控訴人
の主張は採用できない。

2 本件敷金から控除すべき修繕費用について
一般に,賃借人は,通常の使用収益に伴つて生ずべき自然的損耗は別として,その程
度を超えて,賃借人の保管義務違反等の責に帰すべき事由によつて賃借物を毀損等し
た場合は,賃借物の返還に際し,これを修理して賃借当初の原状に復すべき義務を負
っている。
そして,賃借人が,賃貸借契約終了後,修理義務ある毀損等の個所を未修理のままに
放置して顧みないときは,賃貸人は,賃借人に対し,その不履行によって生じた損害
賠償として修繕費用の支払を求めることができるし,これを敷金から控除してその弁
済に充てることができるものである。
そこで,被控訴人主張にかかる本件各汚損等につき,それらが通常の使用収益によっ
て生ずべき自然的損耗を超えた保管義務違反によるものか否か,及びこれに該当する
場合の修繕に要する費用を以下検討する。
ア 和室の襖
被控訴人は,襖4枚に控訴人の子による落書きがあると主張するが,証拠によれば,
落書きが認められる襖は1枚に過ぎず,その他の襖には染みらしき汚れが認められる
ものの,それが経年変化ではなく控訴人の保管義務違反によるものであることを認め
るに足りる証拠はない。
そうすると,控訴人が修繕費を負担すべき襖は1枚と認めるべきであり,その費用は
5250円(5000円×1及び消費税)と認められる。
イ 郵便ポスト
証拠及び弁論の全趣旨によれば,玄関ドアに引っかける部分の破損が認められるとこ
ろ,その破損状況からすれば,郵便ポストを取り替えざるを得ないものと認められ,
郵便ポストの取り替え費用は9450円(9000円及び消費税)であることが認め
られる。
ウ 敷居リアテックシート
敷居リアテックシートについては,その破損の程度を明らかにする証拠がないため,
それが通常の使用の範囲を超える破損であるかの否かを確定できない。
したがって,その張り替え費用を控訴人が負担すべきものとは認めることができない。
エ 台所,トイレ,風呂,換気扇,洗面器の汚損
証拠によれば,控訴人が本件建物の使用中にその手入れ,清掃を怠った結果,本件建
物明渡しの時点において,台所のガスコンロ置き場や換気扇には油汚れやすすが,風
呂,トイレ及び洗面器には水垢及びカビ等が,いずれも通常の使用による汚損の程度
を超えて付着していたことが認められる。
証拠及び弁論の全趣旨によれば,それら清掃に要した費用は3万1500円(台所1
万円,トイレ,換気扇,風呂,洗面器各5000円×4及び消費税)と認められる。
オ 浴室コーキング
被控訴人は,カビがひどく目地部分のコーキングのやり直しが必要であると主張する
が,カビ等の発生はあったとしても,清掃では足りず,コーキングのやり直しまでが
必要なものであったことを認めるに足りる的確な証拠はなく,コーキングのやり直し
費用を控訴人が負担すべきものとは認められない。
カ 畳
被控訴人は,畳3畳について,自然的損耗の程度を超える染みがあると主張するが,
証拠によれば,そのような染みは畳1畳にしか認められない。
そうすると,控訴人が表替え費用を負担すべき畳は1枚と認めるべきであり,その費
用は4305円(4100円及び消費税)と認められる。
キ ダイニングキッチン床
証拠によれば,ダイニングキッチンの床に赤い落書きが認められるものの,同落書き
は1平方メートル四方内にとどまることが認められる。
なお,その他の汚損は,家具の設置跡であると推認されるところ,家具の設置は必然
的なものである以上,通常使用の範囲内であると認められる。
そうすると,控訴人が修繕費を負担すべき範囲は1平方メートル分と認めるべきであ
り,その修繕に要するダイニングキッチン床張り替え費用は4200円(4000円
×1平方メートル及び消費税)と認められる。
ク ダイニングキッチン壁
被控訴人は,青の落書きがあると主張するが,これを認めるに足りる証拠はない。
もっとも,証拠によれば,ダイニングキッチン壁に黒ずみのあることが認められるが,
これは自然損耗による汚れではないかと考えられる。
その他,ダイニングキッチン壁張り替え費用を控訴人の負担とすべきことを認めるに
足りる証拠はない。
ケ 洋室床
証拠によれば,洋室の床に青い落書きがあるものの,同落書きは1平方メートル四方
内にとどまることが認められる。
なお,その他の汚損は,家具の設置跡であると考えられるところ,家具の設置は必然
的なものである以上,通常使用の範囲内であると認められる。
そうすると,控訴人が修繕費を負担すべき範囲は1平方メートル分と認めるべきであ
り,その修繕に要する洋室床張り替え費用は4200円(4000円×1平方メート
ル及び消費税)と認められる。
コ 洋室壁
証拠によれば,洋室の壁に青色及び赤色の落書き並びに茶色のシミが認められるが,
それら落書き等は1平方メートル四方内にとどまるものと認められる。
そうすると,控訴人が修繕費を負担すべき範囲は1平方メートル分と認めるべきであ
り,その修繕に要する洋室壁張り替え費用は1260円(1200円×1平方メート
ル及び消費税)と認められる。
サ 洗面所床
証拠によれば,洗面所の床に紫色に変色した汚損が認められるが,同汚損は1平方メ
ートル四方内にとどまるものと認められる。
そうすると,控訴人が修繕費を負担すべき範囲は1平方メートル分と認めるべきであ
り,その修繕に要する洗面所床張り替え費用は4200円(4000円×1平方メー
トル及び消費税)と認められる。
シ 洗面所壁
洗面所壁については,自然損耗を超える汚損等があることを認めるに足りる証拠はな
い。
ス 玄関床
証拠によれば,玄関床のフローリングにシールをはがした跡及び変色部分が認められ
るが,それら痕跡及び変色部分は1平方メートル四方内にとどまるものと認められる。
そうすると,控訴人が修繕費を負担すべき範囲は1平方メートル分と認めるべきであ
り,その修繕に要する玄関床張り替え費用は4200円(4000円×1平方メート
ル及び消費税)と認められる。
セ 玄関壁
証拠によれば,玄関壁に落書き及びシミないし茶色の変色が認められるが,それら落
書き等は1平方メートル四方内にとどまるものと認められる。
そうすると,控訴人が修繕費を負担すべき範囲は1平方メートル分と認めるべきであ
り,その修繕に要する玄関壁張り替え費用は1260円(1200円×1平方メート
ル及び消費税)と認められる。
ソ 和室壁
証拠によれば,和室壁に落書き及び鉤裂き等の破損が認められるが,それら落書き等
は2平方メートル四方内にとどまるものと認められる。
そうすると,控訴人が修繕費を負担すべき範囲は2平方メートル分と認めるべきであ
り,その修繕に要する和室壁張り替え費用は2520円(1200円×2平方メート
ル及び消費税)と認められる。
以上のとおりで,控訴人が負担すべき修繕費用として敷金から控除できるのは,前記
のア,イ,エ,カ,キ,ケ,コ,サ,ス,セ,ソで各認定した費用の合計である7万
2345円ということとなる。
したがって,被控訴人は,控訴人に対し,敷金70万円から,敷引金28万円,既に
返還済みの敷金15万7007円及び上記認定の修繕費用合計7万2345円を控除
した19万0648円について返還義務を負う。



弁護士中山知行
兵庫県弁護士会所属

http://www.hi-ho.ne.jp/tnlaw/
ホームページ


家主から20万円を取り戻すために100万円の弁護士費用を支払う人はいません。
しかし、20万円を取り戻す裁判も2億円を取り戻す裁判も裁判所に出頭する回数や
提出する書面の数や証人尋問に費やす時間はそう違いません。
20万円を取り戻すために2年の月日を費やし10回も20回も裁判所に出頭しなけ
ればならないとするなら、やはり裁判制度の方がおかしいのでしょう。
事務所を経営している弁護士にはこの辺のコスト意識はありますが、裁判所にはコス
ト意識はあまりありません。
 

判例紹介 礼金返還請求訴訟の判決2011/3 .pdf
 

 

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